多くのペンギンは卵を温めるときは、オスとメスが交替で行いますが、皇帝ペンギンは例外でオスが卵を抱いて温めます。
約32日~35日にかけて、何も食べずに、しかもマイナス60度でブリザードが吹き付ける中で立ちっぱなしです。
繁殖
南極は1~3月が短い夏です。
その間に皇帝ペンギンは、ほとんど海の中にいて十分なエサをたべてしっかり体を作ります。
海が凍り始めた3~4月になると、海から上がって、内陸部のコロニーまで100kmを行進します。
海の近くだと、天敵のアザラシなどに捕食されてしまうため内陸に向かいます。
コロニーに着くと、基本的に一夫一婦制なので前年のパートナーを探します。
しかし皇帝ペンギンはそれほどこだわらないようです。
求愛行動を経てつがいになり、真冬の5月にメスは卵を1個産みます。
産卵後はすぐにオスがその卵をくちばしでかき寄せて自分の足の上におき、自分のおなかにある卵を抱く皮膚(抱卵斑)に接触させて、腹部のたるんだ皮膚で覆います。
そして足のかかと部分に体重をかけて立つことで、つま先を氷の面から浮かせるようにします。
メスは自由になり、産卵で失った体力を取り戻すため、また海に向かって100kmを行進します。
繁殖の季節は冬、1日中夜ばかりの条件下、気温はマイナス60度より低く、しばしば秒速50メートルに達する猛烈なブリザードが襲って、ペンギンたちを雪に埋めてしまいます。
ブリザードのときは、たがいに密集した集団をつくり、対応を保つようにします。
ヒナ
9週間卵を抱き続けた後、7月に卵が孵化します。
孵化するときに、メスが帰ってきていればヒナにエサを与えることが出来ますが、戻ってきていなくても、オスはほんのわずかの「食べ物」を与えることが出来ます。
皇帝ペンギンのオスは、ペンギンミルクと呼ばれる脂肪に富んだ栄養を含むミルクのような飲み物を、自分の食堂から出して、口移しでヒナに与えます。
ヒナは非常に多くのエサを必要とします。
メスは自分の腹の中にためた食べ物を口に戻してヒナに与えます。
交替
メスはつがいのもとへ帰ってくると、オスはヒナをメスに預け、メスは足の上にひなをおき、抱卵斑に接触させて腹部の皮膚でおおいます。
このとき足から足へ移すのに失敗することがあり、その場合はヒナは凍死するか、別のメスでつがいが見つからなかったものに「ひな盗み」されることがあります。
メスに無事にヒナを預けることができたら、オスは餌を求めて再び海へ移動します。
15週間も絶食していたので体重は半分に減っています。
それでも100kmを移動して海に向かってエサを獲りに行進するのです。
まとめ
子育てをするペンギンのなかで皇帝ペンギンほど壮絶な子育てをする種はいないでしょう。
ペンギンのヒナは、卵からかえって6カ月間、真夏の12月までエサを親ペンギンから受けます。